Saturday, May 5, 2012

愛し合ってから戦争だ!

マスコミに載らない海外記事:



Linh Dinh
2012年4月27日

帝国が死にかけていて、わめきたて、幻覚に陥っている今日この頃、最も有名な詩人で反戦の親玉が、たとえ愛想が良いにせよ冷笑的で、多くの人々に とっては依然戦争の親玉である人物から、大統領自由勲章を受けるのだ。ディランは一体どう考えているのだろう? 彼とオバマは初顔合わせというわけではない。2010年2月9日、ディランはホワイト・ハウスで"時代は変る"を演じた。私の記憶が正しければ、ディラン はいささか不機嫌そうに見え、あの夜は不機嫌な為、読者なり誰なりを裁判無しで監禁したり射殺したりすることを命令できる我が大統領の周りに他の出演者達 全員が集まり、我々は終わりなき戦争をしている最中なので、質素にほほ笑むという、良い気分にさせる最後の集いをすっぽかした。覚えておいでだろうか? ディランのかつての愛人「ジェーン女王」も同じ夜会で歌い、そっと口ずさむ前に、バエズはオバマをじっと見つめ、優しい声で言った。“大統領閣下、あなた は大変人気がおありです。”わがあべこべの国においては、白髪交じりの平和運動家が、今や戦犯にセレナーデを歌うのだ。

あの晩、あるいは今も、何の皮肉も感じなかった方々は、読者の素敵な心が、フォックス・ニューズや、トランス脂肪、コーンシロップ、あるいは、例え ば平和と戦争のような二つの対立する概念を同時に、奉じるCNNで一杯に詰まっている為で、この二者は全く不釣り合いで、そもそも対立していたことにご留 意願いたい。それとも、おいボブよ、「国外での激烈な戦争」(訳注:彼の歌『時代が変わる』の一節)が、ミサイルを発射し、ゆっくりジャミングするこの男 によってひき起こされていることが分からないのか? 飽き飽きする「仮面を通して見えないか」?(訳注:彼の歌『時代が変わる』の一節)皆すべて冗談だ。実際、オバマがジョナス・ブラザーズに、自分の娘たち に近づくようなことをすれば、プレデター無人機で攻撃されるぞと警告した際に、世界が笑っていたとは思えない。

洞察力のある人々にとって、悪趣味な皮肉は既にたっぷりあったにせよ、実際に血まみれの手を見せびらかす機会すらなかった、大統領の座についてから 一年もたたないオバマに平和賞が授与された後も、まるでこの賞に依然かなりの正当性があるかのように、この褒賞でディランがノーベル賞に多少近づくかどう かと、ウオール・ストリート・ジャーナルは熟考している。偉大な故ジョー・ベイジェントは、当時“ノーベル委員会は、2009年度平和賞を、その年、最も 多くの爆弾を投下し、地球上で最も貧しい人々を殺害した、まさにその本人に授与したと発言していた。”あるいは、前年スウェーデン人はシリアル・ジョー カー、陰鬱なポール・クルーグマンに経済学賞を授与しており、このスカンジナビア人連中は、いんちきなアメリカ人と同じなのかも知れない。(平和賞はノル ウェー議会によって選ばれる。) こうした最近のトリックは長い間違いリストの最上位にくる。それでも連中がくれるのはかなりの現金で、約200万ドルなのだから、あらゆる公式褒賞を拒否 する主義のジャン・ポール・サルトルと、和平協定調印後も北ベトナムが戦争を継続していたという理由によるレ・ドク・トの二人が受賞を断ったのはむしろ並 外れたことだった。少なくとも、ノーベル平和賞はアドルフ・ヒトラーには決して与えられなかった、アメリカで最も著名な詩人の一人、ガートルード・スタイ ンは、ヒトラーは受賞すべきだと考えたが。1934年5月6日、ニューヨーク・タイムズは、スタインのこういう発言を掲載した。"彼はドイツから、異義を 唱え、戦うあらゆる連中を排除したのだから、ヒトラーは平和賞を受賞すべきだと思う。ユダヤ人や民主主義分子や左翼分子を排斥することで、彼は活性化をも たらすあらゆるものを排斥したのだ。つまり平和だ。"

もし活動をもたらすあらゆるものを追放することで、平和になるのであれば、現在のアメリカは理想郷になっているはずだが、今も継続中のプロセスとし て、多くの工場がより安価な労働力を求めて海外に脱出しつつあり、アメリカの製造基盤が崩壊しているので、プロパガンダにもかかわらず、クルーグマンやオ バマのような嘘つきの親玉連中がどのようことを言おうと、遥かにひどい爆発が待ち受けているとはいえ、最近のティー・パーティーや占拠運動の勃発からも明 らかなように、アメリカ人はこれまで以上に落ち着きを失っている。海外の戦線では幾つか同時並行する戦争をしているので、アメリカはいつも通り多忙だ。

ディランは、こんな主戦論者から自由勲章を受賞するのを拒否し、儀礼を破り、残忍なホストを、“おい 戦争の親玉たち / すべての大砲をつくるあんたがた / 死の飛行機をつくるあんたがた / 大きな爆弾をつくるあんたがた / 壁の後ろに隠れるあんたがた / デスクの後ろに隠れるあんたがた / あんたがたに言っておきたい / あんたがたの正体はまる見えだよ”(訳注:彼の歌、『戦争の親玉』の歌詞)と歌う奇襲で我々全員をびっくりさせてくれるかも知れない。だがもちろん彼はそ れほどとっぴなことはするまい。この賞を受け取ることで、最近のミュージックビデオでまさにケイティ・ ペリーが我が兵士達と銃にしてくれたように、ディランはオバマを更にもう一枚のクールな布で飾りたて、彼を実際より更に見栄えを良くするのだ。

浮気なボーイフレンドと別れて、ペリーは衝動的に海兵隊に入隊する。ゲームセンターで、元の裏切り男と水鉄砲をかけあう代わりに、ペリーは今はM- 16を発射している。不倫なくそったれの気味悪い眼差しの下で浴槽にゆっくり浸かる代わりに、ペリーは今、訓練中の同僚軍人と水中で格闘している。不誠実 な嫌なやつに頼るのではなく、ペリーは今や証明済の同志達に囲まれている。青い旗、新しい空の下でうっとりと歌うペリーでビデオは終わる。本当のアメリカ 海兵隊兵舎で撮影されたこのビデオには、戦車やヘリコプターと、80人の海兵隊員がエキストラとして登場し、我々は既におなじみで、ディランがオバマの手 を握り、目を見て、微笑む時に、我々が再び目にするであろう、我がエンタテインメント産業と軍需産業との本格的共同制作だ。

記事原文のurl:linhdinhphotos.blogspot.jp/2012/04/make-love-then-war.html

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Linh Dinhはサイゴン生まれのベトナム系アメリカ人作家。『血液と石鹸』という本が翻訳・刊行されている。



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